「言葉による見方・考え方」を育む授業デザイン:具体的な活動例と評価方法

こんにちは。今回は、新学習指導要領の重要なキーワードである「言葉による見方・考え方」を育む授業デザインについて、具体的な活動例と評価方法を紹介しながら考察していきます。

言葉による見方・考え方」とは、子どもたちが言葉を通じて様々な視点で物事を捉え、理解を深め、そして自分の考えを表現する力を育むことを目的としたものです。これは、21世紀型スキルとして求められているコミュニケーション能力や問題解決力、そして批判的思考力の育成にも直結します。社会に出たときに、周囲と協力して課題を解決するためには不可欠な力です。

授業デザインの工夫

1. 授業導入:「知りたい!」を引き出す

授業の導入部分では、子どもたちの「もっと知りたい」という興味関心を引き出すことがカギとなります。たとえば、小学校での国語の授業で物語文を扱う際には、以下のような工夫が効果的です。

視覚資料を活用して興味を引く

実際に授業で活用されている例として、物語の登場人物のイラストを見せたり、舞台となる場所の写真や動画を見せることで、子どもたちの理解が深まります。

例えば「スイミー」や「モチモチの木」の授業では、海の中の映像や田舎の風景を見せることで、子どもたちの想像力が刺激され、学習意欲が高まる事例があります。

生活と関連づけて考える

授業で説明文を扱う際、子どもたちの日常生活や身近な経験と関連づけることで、内容がより実感を伴ったものになります。

例えば、理科で「植物の成長」について学ぶ場合、子どもたちが育てている学校の花壇の植物や、自宅でのお手伝いで水やりをする経験を引き合いに出すと、興味が引かれます。

問いを投げかけ、考えさせる

「どうしてこの場面で登場人物はこう感じたのか?」などの問いかけは、子どもたちの内的な思考を活性化させます。

例えば、物語文の読み聞かせの後に「どうして登場人物はこの決断をしたと思う?」という問いかけを行うことで、子どもたちに物語を深く考えさせることができます。

授業展開:主体的な学びを引き出す

授業の展開では、子どもたちが「見方・考え方」を使いながら、主体的に学べるような環境づくりが求められます。

対話を通して思考を深める

ペアワークやグループワークを取り入れ、対話を通じて考えを深める場を提供します。

例えば「桃太郎」の授業では、グループで登場人物の気持ちや行動を議論させることで、多様な視点が出てきて、子どもたちは新しい気づきを得ます。また、クラス全体で意見を共有することで、考えの広がりが生まれます。

具体的な体験を通して学びを実感する

教科書だけでなく、具体的な体験や実験を取り入れることで、学びに実感を持たせます。

例えば「大きなかぶ」の授業では、実際にかぶを引っ張る体験を通して、物語の登場人物の気持ちに共感し、物語の深い理解につながるといった事例があります。

思考ツールを活用して整理する

ベン図やK-W-Lチャート(知っていること、知りたいこと、学んだことの記録)などの思考ツールは、複雑な内容を整理し、情報を視覚化するのに役立ちます。

実際、社会科の授業で複数の歴史的事象を比較する際にベン図を活用することで、違いと共通点を視覚的に捉えることができます。

授業終末:学びの振り返りと日常生活との関連性

授業の終末では、子どもたちにその日の学びを振り返らせ、日常生活との関連性を意識させることが重要です。

メタ認知を促す

「今日は何ができるようになったか?」という問いかけを行い、自分の学びを振り返らせることで、子どもたちは学びを意識的に捉え、理解を深めることができます。この振り返りはノートに記録することで、後で見返すことができるため、学びが定着します。

学んだことを応用できる場面を示す

学んだ内容が日常生活でどう活かせるかを示すと、子どもたちにとって学びの価値が高まります。

例えば、作文の授業で学んだ表現技法を、自分の日記や学校新聞に活かすという形で応用させると、学びが実生活に結びつきます。

表現活動を通して定着させる

学びをノートに書いたり、ペアで話し合ったりすることで、アウトプットを通じて理解が定着します。特に作文や感想文を書く活動は、考えを言語化する過程で子どもたちの思考が整理され、学びが深まります。

評価:多角的な視点で「見方・考え方」を評価する

「見方・考え方」の評価は難しいと感じるかもしれませんが、以下のような多角的な評価方法を取り入れることが可能です。

観察

子どもたちのグループワークや発言を観察し、どのような視点で物事を捉えているかを記録します。

例えば、理科の実験中に子どもたちが交わす会話や行動から、思考の過程を評価できます。

ノート

子どもたちがノートに記録した内容を振り返り、文章や図、表などを通して、彼らの思考の過程を評価します。これにより、子どもたちが学んだことをどのように整理しているかが見えてきます。

作品

作文や図画工作、感想文などの作品を通じて、子どもたちが自分の考えをどのように表現しているかを評価します。

例えば、「自分の好きなキャラクターについて作文を書く」課題では、どのようにキャラクターの特徴を捉え、言葉で表現しているかを評価できます。
大切なのは、一人ひとりの学びを丁寧に見守ることです。「言葉による見方・考え方」を育む授業デザインは、子どもたちの学びを大きく変える力を持っています。彼らが言葉の力を使い、自らの考えを表現し、周りと協力して課題を解決できるように、共に成長していきましょう。

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